この個体は有名なNS-10Mではありません。通称“NS-10Mの弟分”、NS-018の改造版です。もちろんYAMAHA製。80年代のMade i JAPANです。あまり数の出る個体ではありません。◎NS-10Mと何が違うかというと、スピーカユニットが若干ランクダウンしていることです。たとえば同じように見えるウーハですが、じつはNS-10MのJA-1801ではなくJA-1802が使用されています。最大入力に差があり、元祖NS-10Mの50Wより10W少ない40Wです。ただ「地下室で巨大音量で聴く」というような用途でもない限り家庭ユースに不自由はないでしょう。またサランネットの枠が木製ではなく樹脂製になるなど、細かなコストダウンが見受けられます。◎聴き較べてみた印象では、クリアで素直な音はNS-10M譲りでほぼ遜色ありません。強いて言うなら定位のキマリ感が、ほんの少しだけNS-10Mに劣るかなという程度。しかしながら、だからこそ聴いていて疲れないし、むしろこちら(NS-018)の方が間違いなく「現代風の良い音」です。◎ノーマルのNS-018に比較すると、かなりの部分に手を入れました。特に、ウーハにはスピーカー専門のポリマー加工、エッジに柔軟化処理を施してあります。ポリマー加工とは、コーン紙の表面に極めて薄い高分子密着被膜を作るもので、一義的にはコーン紙の劣化を防ぎ、本来の白さを取り戻し、湿気や紫外線などからウーハを守るためですが、コーン紙の剛性を高める作用も持つため、音を引き締めて音像をハッキリさせる効果があります。 また外観にも大いに手を加えました。詳しくは言えませんが、これは素人作業ではありません。◎私が気に入っているのは音質もさることながら、ネットをかぶせたときの半透明感です。白いコーンとYAMAHAのロゴがうっすら見えるのが、NS-10Mにはない味わいかと思います。◎外観は見ての通りけっこう美品ですが、角のパテ跡(8枚目)ネットのほつれ(9枚目)右ツイータの枠汚れなどがあるため大幅に値を引いています。30年以上前の製品ですから、これ以外にも細かなキズはあるかもしれません。そのあたりはご承知おきを。大きさはNS-10Mとまったく同じ幅215x高さ382x奥行199mm。【041麻】